不 整 脈 編
 
 Q1. 動悸(どうき)を感じたら?
 Q2. 不整脈の自己診断法
 Q3. 拍動が乱れている場合は要注意!
 Q4. 心房細動の併発および合併症
 Q5. 心房細動が疑われたら?
 Q6. 心房細動の治療は?
 

 Q1. 動悸(どうき)を感じたら?

 動悸とは、一般的に脈が飛ぶ、突然脈が速くなる、ドキドキして苦しいなどの症状を指します。このような動悸を起す原因で最も多いのが不整脈です。不整脈の中でも、経過観察でいいものから可及的に治療が必要なものまで様々ですが、苦しい、胸が痛いなどの症状を呈するものは治療を要することが多く専門医の診断が必要です。

 Q2. 不整脈の自己診断法
 動悸を感じたら、主に手首の動脈(橈骨動脈)に反対側の人差し指と中指で軽く当てるようにします。すると、通常であれば血管の拍動を感じることができます。1分間安静にしてその拍動の回数を測ると、正常な場合では1分間に50-100回がその目安です。動悸を感じている場合に、この方法で拍動を測ってみて安静状態にもかかわらず1分間に140回以上有る場合や規則正しいリズムで拍動が測れない場合は不整脈疾患の可能性が高くなります。

図2.自己検脈方法とその判別

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 Q3. 拍動が乱れている場合は要注意!
 右手首で測ってみた拍動が例えば1分間に140回以下であったとしても、その拍動が規則正しくない(正常な場合の拍動は一定のリズムです!)場合は、心房細動という不整脈の可能性があります。この心房細動は巨人軍の長嶋監督やサッカーのオシム監督も患われた不整脈です。 心房細動とは持病に心臓病がなくても加齢によって発症することもある最も多い不整脈です。先程のように右手首で触れてみた橈骨動脈の乱れがある場合がこの不整脈の可能性を示唆します。症状は多岐にわたり激しい胸の症状(動悸、不快感など)を呈する場合もあれば、全く無症状のことも少なくありません。この不整脈の怖いところはそれ自体で命に関わるようなことは少ないですが、心房細動を放置していることによって起こりうる併発症および合併症が非常に恐ろしいものがあります。

図3.心房細動と合併症
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 Q4. 心房細動の併発および合併症
 心房細動を放置すると時に心臓内に血の塊(血栓)ができることがあります。これにより一番恐ろしいのは脳塞栓症(脳卒中)を併発する可能性が高くなることです。70歳以上では心房細動のない人に比べて、心房細動がある人では脳塞栓症(脳卒中)の発症率が5倍になると言われています。しかも、心房細動が原因となった脳塞栓症は非常に大きい脳後遺症を起こす確率が高く予後が悪いことが知られています。
図4.心房細動と合併症
図5.心房細動と脳塞栓症のリスク
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 Q5. 心房細動が疑われたら?
 未治療の心房細動は無症状であったとしても、将来脳卒中を起す可能性があるため、専門医の診察を受けましょう。治療法として、まず脳卒中の予防が必須であり、心臓内に心房細動が原因となり血栓(血の固まり)ができることを予防する薬を飲む必要があります。ただし、最近では心房細動自体をカテーテル治療と呼ばれる手術で根治することが可能となってきていますので、専門医に相談しましょう。

 Q6. 心房細動の治療は?
 薬物療法と手術治療があります。薬物治療は不整脈の出現を抑える薬(抗不整脈薬)と血栓をできにくくする薬(抗凝固薬)の2種類を内服します。手術治療はカテーテルアブレーションとも呼ばれ、不整脈の原因を治療するため根治治療でもあります。成功すると将来的に内服の必要性がなくなることがあります。

図6.不整脈治療の実際


 
図7.不整脈治療の実際
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